COMMUNICATION
SPECIALIST

  • CS(コミュニケーションスペシャリスト:ドクターヘリの運航管理・通信指令)
  • CSは、基地病院内に整備されている専用ルームから、医療関係者や運航クルーが安全かつ円滑に飛行できるよう支援します。天候の確認、消防関係者との着陸ポイントの調整、出動指示などを行い、IP無線機や航空無線を用いて、地上から最大限のサポートを行います。そのため、CSはまさにドクターヘリの司令塔といえる存在です。
    待機時間中は、基本的にトイレ以外で専用ルームを離れることができません。やむを得ず離れる場合は、常に要請連絡が入る電話を持ち歩いています。そのような緊張感のある時間が長く続きますが、ドクターヘリで運ばれた患者さんの回復を聞いたときは、自然と笑顔になり、一瞬ではありますが緊張がほぐれる瞬間となります。

  • ホットライン電話

    消防機関または医療機関からのドクターヘリ要請を受け、要請内容や患者さんの情報、ランデブーポイント、救急隊や着陸場所の安全確保を行う支援隊の情報、無線コールサイン、現場の位置、救急隊の動き、着陸場所への到着時間などを確認します。少しでも早く医療クルーが患者さんと接触できるよう、調整・提案・交渉を行うための重要な連絡手段です。

  • IP無線機

    医療クルーや運航クルー、その他関係者(事務員など)同士の意思疎通を図るために使用します。個別での通話はもちろん、設定された複数の相手と同時に話すことも可能です。トランシーバーのように一斉送信ができるため、スムーズな情報共有に役立ちます。また、出動要請連絡(ホットライン)を受けた際には、この無線機を用いて「ドクターヘリ エンジンスタート!」と指示するなど、CS業務において欠かせないアイテムです。

  • 航空無線機・医療無線機

    ドクターヘリのエンジン始動中や飛行中に、地上から通信を行うための無線機です。航空無線機:出動先の着陸地のGPS番号や救急隊の無線コールサイン、現場と着陸場所の位置関係、雨雲や風といった気象情報など、主に運航に関する情報を通信します。医療無線機:患者さんの情報や受け入れ可能な病院の確認など、医療に関する情報を通信します。

  • 気象情報や各地のライブカメラを表示するPCモニター

    ドクターヘリは要請を受けてから通常約5分程度で離陸します。そのため、要請を受けた段階で安全に飛行できるかを迅速に判断できるよう、雨雲レーダーや専門的な気象データを常に表示しています。また、出動範囲内にある数十か所のライブカメラ映像を確認し、詳細な気象状況を把握することで、悪天候時の代替飛行ルートや適切な着陸場所の提案が可能となります。

  • PCソフト1(着陸場所の一覧表や飛行計画通報、日没時間などを表示)

    管轄エリア内に500か所以上あるドクターヘリのランデブーポイントの中から、消防機関との調整により選ばれたポイントへの到着予想時刻などの情報を入手できるソフトです。また、日没前にヘリが病院や格納庫へ戻る時間の計算、飛行計画の航空局への通報機能も備えています。特に、複数の出動要請が重なり時間的な余裕がない場合に大いに活躍するソフトです。

  • PCソフト2(全ランデブーポイントを表示できる地図ソフト)

    要請のあった現場住所やランデブーポイントとの位置関係を確認するためのソフトです。消防署の所在地や道路・地形なども表示できるため、傷病者と医療クルーをできるだけ早く接触させるための最適なポイントを選定・提案する際に役立ちます。

  • 連絡手段を駆使したコミュニケーション能力

    運航クルーや運航会社本社、他県のドクターヘリ、消防機関、医療者、航空局、警備スタッフ、病院関係者などと、電話や無線を駆使して常に調整を行います。傷病者の救命活動においては、同時に2~3件の電話や無線を扱うこともあります。今何を最優先すべきかを瞬時に判断する能力が求められ、それこそがCS(コミュニケーションスペシャリスト)の名の由来ともいえます。まさに、最も重要なスキルの一つです。