- 第4回
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ドクターヘリで結ばれた命
~受傷から退院までを振り返って~

22024年2月、会社員Kさんが出勤のため自家用車でバイパスを走行していたところ、センターラインをはみ出してきたトラックと正面衝突する。事故目撃者が119番通報する。消防車・救急車が到着するもトラックが車体の前面にめりこんだ状態でドアが開かず、足も挟まれている状況。最終的には車体を切断し、リアハッチから救助する。救助中は救急隊員が手を握り、声をかけて患者さんを励まし続けた。
足や肩などの複雑な骨折に加え、肺にも大きなダメージを確認。酸素投与と脊柱固定をしてランデブーポイント(ドクターヘリが待っている場所)まで患者さんを運び、患者さんをドクターヘリへ引き渡す。患者さんが「苦しい」と声にし、痛みがとてもある様子。変形してしまった足を固定し、麻酔投与を行う。肺に溜まった液を排出するため開胸処置。胸が虚脱している状況(肺がしぼんだまま膨らまない状況)だったので人工呼吸器を装着。そのまま肺・足の緊急手術へ。ICU滞在4日後にHCUへ移動。人工呼吸器が外れ食事やリハビリも始まるが、複数回の手術が続く。
事故から11日後に一般病棟へ。痛みが酷いため痛み止めを打ちながら過ごす。最初は痛くて足が上がらない状態だったが、リハビリを続け、事故後1ヶ月半で平行棒を使いながら少しずつ歩けるように。
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会社員Kさん
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患者さんから
本当にありがとうございました。この一言です。事故発生時の記憶はあいまいなのですが、事故後の車内にいる時はとても不安でした。救助の方がきてくれたとき「やっときてくれた」と安心したことを今でも覚えています。入院中も痛みや辛いことがたくさんありましたが、病院の皆さんがいつも優しく接してくださったので、落ち込むこともなくいつも前向きに過ごすことができました。痛くても辛くても、大丈夫と思うことができました。最初から最後まで本当にお世話になりました。
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大森医師
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フライトドクターから
救助活動が難航し、身体の状態も悪い。ドクヘリが飛んでいなかったら、もしかしたら助からなかったかもしれない状況でした。本件に限らず、救助隊や医療従事者の方々はそれぞれの分野で関わりあって1人の命をつないでいます。その認識をみんなで共有し、今後のモチベーションに繋げていければいいなと思います。また、この会を通して、患者さんに限らずご家族の方の不安を払拭する励みになってほしいです。
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